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ドローンでクマを追い払う方法とは?噴射装置SABOT-3の新装置「鉞」を解説

「ドローンでクマ対策はできるのか」――結論から言えば、クマよけスプレーをドローンに載せ、遠隔から噴射して追い払う仕組みが実際に開発されています。これまでドローンは「クマを探す」用途で使われてきましたが、噴射装置と組み合わせることで「探して、追い払う」までを一台で担えるようになりつつあります2。本記事では、その中心となるスプレー缶噴射装置「SABOT-3」の最新モデルと、クマ対策向けに開発中のオプション品を、獣害対策に取り組む自治体・事業者の目線で整理します。

そもそもSABOT-3とは何か

SABOT-3は、東洋製罐が開発・製造している「ドローン用スプレー缶噴射装置」です。ドローンに市販のスプレー缶を搭載し、空中から直接液剤を吹き付けられるのが特徴で、これまで高所での簡易補修や防錆、マーキング、鳥害対策などに使われてきました2

2026年7月から販売が始まった新モデル「SABOT-3 Block2」は、従来のDJI Matrice 300 RTK/350 RTKに加え、最新の産業用機体であるDJI Matrice 400にも対応しました2。旧機種が生産終了となり、現場でMatrice 400への移行が進むなかで、ユーザーからの要望に応えた形です2

注目したいのは操作性です。SABOT-3はサードパーティー製の装置でありながら、DJI純正アプリ「DJI Pilot 2」上から操作できます2。専用ソフトを別途覚え直す必要がない点は、複数の業務でドローンを使い分ける現場にとって実務的なメリットと言えるでしょう。

クマ対策向けの新装置「鉞(マサカリ)」

今回もっとも新しい動きが、クマ被害の拡大を受けて開発された補助噴射装置「鉞(マサカリ)」です2

鉞は、クマよけスプレー缶を搭載するための装置で、ドローンのランディングギア(着陸脚)の両側に取り付けられます。左右それぞれの缶に入った薬液がチューブを通ってSABOT-3のノズルまで送られ、そこから噴射される仕組みです2

ポイントは「探す」から「追い払う」への拡張です。これまでもドローンでクマの居場所を確認することは行われてきましたが、遠隔操作できるドローンとSABOT-3のピンポイント噴射・カメラ性能を組み合わせることで、人が近づかずに安全な距離からクマを追い払えるようになります2。人身被害のリスクを負いやすい追い払い作業を無人化できる意義は大きいと考えます。

なお、鉞は本記事の情報時点ではまだ開発中の製品で、開発とサポート体制が整い次第、順次販売が始まる予定とされています2。導入を検討する場合は、正式な発売時期や運用条件をメーカー・販売店に確認しておくのが現実的です。

鳥害対策や高所作業に効く「NYOI」

もう一つの開発中オプションが、多目的伸縮装置「NYOI(にょい)」です。SABOT-3に接続して使い、取り付け時の収縮状態から最大1.5mまで先端を伸ばせます2

先端には刷毛(はけ)やローラー、ミスト噴射ノズルを取り付けられ、対象に近づいて至近距離から吹き付けたり、直接触れて塗装したりできます2。噴射だけでは狙いにくかった「塗る」作業が、刷毛やローラーで確実に塗布できるようになる点が実用的です2

この伸縮機構は鳥害対策にも有効です。鳥忌避剤は、梁やワイヤーが張り巡らされた軒下などで撒くことが多いのですが、NYOIを伸ばせば安全を確保しながら狙った箇所へピンポイントで噴射できます2。獣害・鳥害は現場ごとに構造物の形が異なるため、「距離と角度を柔軟に取れる」という発想は応用範囲が広いと感じます。

安全に運用できる機体との組み合わせが前提

こうした作業を空中で行う以上、機体側の安全性能が土台になります。対応機体の一つであるMatrice 400は、ミリ波レーダー・LiDARセンサー・ビジョンセンサーという3種類の障害物センサーを備えています2。SABOT-3による作業は、建物の屋根・外壁・梁など障害物に接近する場面が多いため、この障害物検知能力の高さは安全確保の面でも大きいと説明されています2

クマの追い払いにせよ鳥忌避剤の噴射にせよ、狭い場所や構造物の間で機体を動かす作業です。噴射装置の性能だけでなく、「そもそも接触せずに飛べる機体か」という視点で構成を選ぶことが欠かせません。

導入前に確認したいこと

新しい装置ほど、いきなり買って現場投入するのは不安が残ります。SABOT-3については、セキドと東洋製罐が共同で、実際の噴射を間近に見られる無料実演会を定期的に開催しており、次回は9月11日(金)に神奈川県横浜市で予定されています2。専門スタッフの説明を受けながら、現場に近い環境で噴射の様子を確認できるとされています2。購入後も、安全に使うための導入基礎講習が用意されています2

こうした「使い方を学ぶ場」と「導入後に相談できる体制」の有無は、獣害対策に限らずドローン導入の成否を左右します。一般に、農業用や産業用のドローンは購入価格だけで比較すると、点検・修理・部品供給・行政手続きといった継続的なコストが見えにくく、サポートが弱いと故障時に作業が止まるリスクがあります1。だからこそ、誰に相談し、どこで点検・修理を受けられるかを購入前に確認しておくことが重要です1。実際、正規の販売・サポート網から購入していないために、初期設定や修理の相談先が分からず困る事例も報告されています3

まとめ

クマ被害への対応は、いま多くの地域が直面する切実な課題です。SABOT-3 Block2と開発中の「鉞」は、人が危険な現場に立ち入らずにクマを追い払う手段として、有望な選択肢の一つになりそうです2。あわせてNYOIによる鳥害対策や高所作業への応用も進んでおり、ドローンが「見るだけ」から「作業する道具」へ広がっていることがうかがえます2

一方で、これらの装置は障害物に近づく作業を伴うため、機体の安全性能と操縦者の運用スキル、そして導入後のサポート体制がそろって初めて安心して使えます21。西濃ドローンアカデミーでは、国家資格の取得から安全運航の考え方までを学べます。新しい用途に挑戦する前提として、まず基本となる操縦技術と法令知識を固めておくことが、こうした装置を現場で活かす近道になるはずです。

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