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緑肥レンゲのドローン散布とは?粒剤キャリブレーションと播種の勘所

水稲の収穫が終わった圃場に、春に向けてレンゲやヘアリーベッチといった緑肥(地力を養うために育てる作物)の種をまく。この秋作業も、いまはドローンでの空中散布が選択肢になっています。ポイントを先に言えば、成否を分けるのは「軽い種をどう均一に落とすか」で、そのために欠かせないのが粒剤散布機のキャリブレーション(機体に重量や落下量を覚えさせる校正作業)と、回転数・速度の現場調整です。

本記事では、DJI T25Pでレンゲ・ヘアリーベッチを散布した実作業の記録1をもとに、緑肥の空中散布でつまずきやすい点と、精度を出すための勘所を実務目線で整理します。

なぜ緑肥の播種をドローンで考えるのか

緑肥は、稲刈り後の圃場にまいて冬を越させ、春の作付け前にすき込む使い方が一般的です。ただ、広い面積に種を手でまく、あるいは機械を圃場に入れるのは手間も体力も要ります。ここに空中散布が入ると、ぬかるんだ秋の圃場に重い機械を入れずに済み、短時間で広い面積をカバーできます。

実際の作業では、3名体制で水稲後の圃場に緑肥の種をまいており、約80a(アール)規模のレンゲ畑を含め、レンゲとヘアリーベッチを各4kgずつ、2ヘクタール強に散布する計画で進められていました1。レンゲとヘアリーベッチを同時にまくのは珍しいケースだという現場のコメントもあり1、緑肥の播種がまだ手探りで広がりつつある作業であることがうかがえます。

肝は「自重」と「拡散量」の2段階キャリブレーション

液剤(農薬の散布)と違い、種や肥料のような粒状のものをまく粒剤散布では、機体に2つのことを覚えさせる必要があります。

ひとつは自重キャリブレーションです。タンクが空の状態を「0kg」として記憶させる作業で、これを省くと重量表示が常にずれ続けます1。注意したいのは、何も積んでいないはずなのに数kg分の誤差が出ることがある点です。記録では、液剤装置から粒剤装置へ付け替えた直後に、空のまま3.8〜4.2kgと表示される現象が起きています1。種を送り出す羽根(インペラ、約200g)を外すと重量が変わるため、外したインペラも載せた状態で基準を取ると、より正確になるという工夫も紹介されています1。

もうひとつが拡散量キャリブレーションです。実際に種を入れ、回転数ごとに1分あたりどれだけ落ちるかを機体に学習させます1。投入量の目安は、細かい種に対応する小スクリューフィーダーで10kg強、送り量の多い大フィーダーなら満タン(25kg)が推奨されています1。学習したデータは「レンゲ」などと名前を付けて保存し、自動飛行時に呼び出す流れです1。

T25PとT70で手間が違う点に注意

同じ粒剤散布でも、機体によってキャリブレーションの頻度が変わります。T25Pは重量センサーが機体側にあるため、液剤と粒剤を付け替えるたびに校正が必要です1。一方、T70は重量センサーがタンク側にあり、基本的にはキャリブレーション不要とされています1。付け替えて使う頻度が高い方にとっては、この違いが日々の段取りに効いてきます。

軽い種をムラなくまく設定値と現場の工夫

レンゲのような軽い種は、そのままだと十分に飛散せず、拡散幅が出にくいという特性があります1。そこで記録では、回転数を900rpmから1000、1100rpmへと上げながら調整し、飛び方を目視で確かめています1。

参考として、レンゲの散布設定は、散布幅6.12m・内縮(端で控えめにまく幅)約1m・散布量40kg/ha・速度約15km/h・高度3mという条件で、拡散量の数値は0.28を内縮を考慮して0.26に補正したとされています1。この設定で1区画あたり目標約10.8kgに対し実績10.9kgと、ほぼ狙いどおりに収まりました1。着陸位置が傾斜でずれ、残量が前後した場面もありましたが、許容範囲と判断されています1。

現場ならではのコツも参考になります。自動散布の開始直後は種が送り込まれるまで出ない区間があるため、最初だけ手動で散布ボタンを押し、種が出たのを目視してから自動に切り替える1。外周は内縮1mで、往復で1mオーバーラップさせるイメージにして重なり不足を防ぐ1。そして精度の目安は、機体表示の散布量と残量を見ながら±1割以内を狙い、それ以上ずれる場合はキャリブレーション不良や設定値、速度を疑う1。速すぎても遅すぎても量が合わないため、適正速度の見極めが重要だとされています1。

数値だけを追うと簡単そうに見えますが、「軽い種」という素材の難しさに、目視確認と微調整で向き合っているのが実態です。緑肥の空中散布をこれから始める方は、いきなり自動飛行に任せきりにせず、最初の数区画で飛散状態と精度を自分の目で確かめる段取りを組んでおくと安心でしょう。

「播く」だけでなく、圃場まわりの省力化もあわせて考える

緑肥の播種は、担い手不足や高齢化が進むなかで秋作業の負担を軽くする取り組みの一つです。同じ文脈で、圃場まわりの草刈りを省力化する動きも進んでいます。たとえば自動草刈りロボット「Taurus80E」は、2026年9月に環境省「農業機械の電動化促進事業」の補助対象として正式登録され、条件を満たせば補助制度を使って導入できるようになりました2。リモコン操作と自動走行に対応し、刈幅800mm・最大約5時間の連続稼働で、法面や傾斜地など負担の大きい現場を想定しています2。

播種はドローン、草刈りは自動ロボットというように、作業ごとに機械を組み合わせて人の手を減らす発想は、今後ますます現実的になっていくはずです。ただし、自動化・電動化された機械は従来機より導入コストが高くなりがちで、補助制度の活用を含めた導入計画が普及の鍵になる点も押さえておきたいところです2。

まとめ

緑肥のドローン散布は、広い圃場を短時間でまける一方、軽い種ならではの難しさがあり、自重と拡散量の2段階キャリブレーション、そして回転数・速度・内縮の調整が精度を左右します。機体によって校正の手間が変わる点も、日々の段取りに影響します。設定値はあくまで目安とし、最初の数区画で飛散と精度を目視確認する——この基本を押さえれば、緑肥の空中散布は秋作業の心強い選択肢になります。

こうした粒剤散布の設定や自動飛行は、国家資格の取得と実機での練習を通じて身につけると、現場での応用が効きやすくなります。ドローンの国家資格取得をお考えの方は、西濃ドローンアカデミー(https://license.seino-drone.com?utm_source=blog&utm_medium=organic)の講座情報もぜひご覧ください。

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