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「つくれる国」であること──国産ドローンの量産・サプライチェーン強靭化と中部圏エコシステムを読む

ドローンの話題というと、どこまで飛べるか、何を運べるかといった「使う側」の性能に目が向きがちです。しかし2026年に入って目立つのは、「誰が、どこで、どれだけ安定して機体を作れるのか」という“つくる力”をめぐる動きです。海外製に依存しがちだった機体・部品を国内でまかなえるかどうかは、価格や納期だけでなく、防衛や災害対応といった安全保障にも直結します。

今回は、受講検討者や現場の実務者が機体選びや事業計画を考えるうえで見落としがちな「供給網(サプライチェーン)」という切り口から、最近のニュースを整理してみます。

「量産体制」に資金が向かい始めた

象徴的なのが、Prodroneが日本政策投資銀行(DBJ)から資金を調達し、国内での量産体制づくりを加速させると発表したことです1。同社は「地域から一番信頼されるドローンカンパニー」を掲げ、中部圏でドローンのエコシステム(開発から生産までを地域で完結させる仕組み)を築くことを目指してきました1

ここで注目したいのは、資金の使いみちが華やかな新機能ではなく「量産」と「サプライチェーンの強靭化」に置かれている点です1。試作機を一機つくるのと、同じ品質のものを安定して数多く供給するのとでは、必要な技術も体制もまるで違います。産業として根を張るには、この“地味だが不可欠な”部分への投資が欠かせません。

中部圏という地域性も、岐阜で学ぶ私たちにとっては身近な話です。ものづくりの集積地が近いことは、部品調達や修理対応の面でも現場に効いてきます。

「民生で培った量産力」を安全保障へ

もう一つの動きが、Prodroneと東芝による防衛分野での技術連携です2。偵察や攻撃に使われる無人機への対処能力が世界的に重視されるなか、両社は国産部品を基本としたサプライチェーンを組み、安定供給できる体制の確立を目指すとしています2

興味深いのは、ここでも“量産性とコスト競争力”が鍵に据えられていることです2。Prodroneは産業用機体で培った設計技術・量産実績・自律飛行制御を持ち寄り、東芝はレーダーや指揮統制システム、防衛装備品の品質保証といった知見を持ち寄ります2。民生の現場で鍛えた「安く、数多く、確実に」という力が、そのまま国の備えにつながる構図です。

これは、民間の実務者にとっても無関係ではありません。特定分野で確立された品質保証や部品供給の仕組みは、めぐりめぐって一般の産業機の信頼性向上にも波及していくからです。

「空」以外の担い手も国内で育っている

サプライチェーンを支えるのは、空を飛ぶ機体だけではありません。アトラックラボは、最大100kgを積載でき車幅を用途に応じて変えられる産業用クローラーロボット「AT-Crawler」を発表しました3。建設現場やプラント、災害対応など、人が入りにくい過酷な現場での運搬・点検を担う地上ロボットです3

同社はまた、衛星測位(GNSS)が使えない暗渠や地下水路を、3D LiDARとSLAM(自己位置推定技術)で自律航行できる全長約1.2mのカタマラン(双胴)艇も開発しています4。空・地上・水上と、現場の“死角”を埋める国産プラットフォームが層をなして育ってきていることがわかります。

こうした機体は、通信手段にWi-Fi・LTEに加えStarlinkも選べるなど、通信環境の整わない現場を前提に設計されています3。国内メーカーが現場の実情に合わせて作り込める――これも供給網が国内にあることの強みです。

市場の拡大が「つくる力」への投資を後押しする

背景には市場の成長期待があります。あるシンポジウムの資料によれば、ドローンの市場規模はすでに3000億円を超え、2028年には9000億円に達するとの予測が示されています5。航空法改正から10年、機体認証や国家ライセンス制度の整備が進み、産業として次の段階に入りつつあります5

市場が広がるほど、機体を「安定して供給できるか」が事業の生命線になります。安く高性能でも、必要なときに手に入らない・修理できないのでは、現場は止まってしまいます。だからこそ今、量産とサプライチェーンに資金と知見が集まっているのだと考えられます。

まとめ:機体を選ぶときは「その後」まで見る

国産化の潮流は、単なる「国産だから安心」という話にとどまりません。安定供給・修理対応・部品調達といった“買った後”を支える体制が、地域のものづくりと結びついて厚みを増している――ここに本質があります。

実務者が機体を選ぶときも、性能スペックだけでなく、供給や保守の体制まで含めて見る視点がこれから一層重要になるはずです。西濃ドローンアカデミーは中部圏に根ざすスクールとして、こうした産業の全体像も踏まえながら、現場で長く使い続けられる知識と技能をお伝えしていきます。

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