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ドローンの「飛べる時間」をどう延ばすか──係留・ハイブリッド・半固体電池と軽量化の最前線

ドローンを現場で使い始めると、多くの人が最初にぶつかる壁が「飛行時間の短さ」です。点検でも運搬でも空撮でも、バッテリーが十数分から数十分で切れてしまえば、作業は途中で中断し、着陸・交換・再離陸を繰り返すことになります。効率を左右するこの「飛べる時間」を、業界はどう克服しようとしているのか。2026年の展示会や新製品の動きから、いくつかの現実的なアプローチを整理してみます。

「電源を地上に置く」係留という発想

一つ目の答えは、そもそも機体にバッテリーを積み切らないという考え方です。地上の給電装置とケーブルでつなぐ「係留型」なら、電力供給が続く限り飛び続けられます。あるメーカーの係留機は、有線給電時に24時間という実証値を記録したと紹介されています1。長時間の定点監視や災害時の情報収集など、「同じ場所で飛び続けたい」用途では大きな強みになります。

さらに実務面では、係留飛行は飛行許可・承認の一部が省略できる場合があり、これが一定の需要につながっています1。手続きの負担を抑えつつ長時間運用できる点は、現場にとって見逃せないメリットです。実際にこの係留機は公的機関へ10数台が納入され、稼働しているとされています1

ケーブルを抜けば飛び続ける「ハイブリッド」

とはいえ、ケーブルに縛られたままでは行動範囲が限られます。そこで登場したのが、係留とバッテリー飛行を併用する構成です。前述の係留機は改良され、バッテリーを積むことで無線状態でも飛べるようになりました1。しかもプロポ(送信機)側の操作は不要で、張ったケーブルを引き抜くだけで無線飛行へ移行し、バッテリー使用時でも50分の自律飛行が可能とされています1。「普段は係留で長時間、必要なときだけ自由に動く」という運用は、監視と機動の両立を求める現場に合っています。

重量物の運搬でも進化が見られます。ペイロード70kgまで対応する運搬機は、積載量が前年より2〜4割向上し、プログラムによる自律飛行で最短ルートを往復するといいます1。LPガスの運搬や御岳山の山頂への物資輸送に使われた実績も紹介されており1、人が担いで運ぶには危険・重労働な場面での置き換えが具体化してきています。

電池そのものを変える──半固体・全固体と国産化の宿題

より本質的なのは、バッテリーの性能を上げることです。前述の運搬機がペイロードなしで50分、30kg搭載時でも40分という飛行時間を実現できた背景には、従来のリチウムバッテリーよりエネルギー密度が高い「半固体電池」の採用があるとされています1。同じ電池は、群れで飛ぶ小型機にも使われ、約30分の飛行を可能にしています1。将来、全固体電池が実用化されれば、飛行時間はさらに延びると期待されています1

ただし、ここには実務者が知っておくべき課題もあります。現状、半固体電池を製造しているのは中国メーカーであり、日本国内での製造は担えていないという指摘です1。機体の国産化が進んでも、心臓部である電池を海外に依存する構図は残ります。供給の安定性やセキュリティを重視する用途では、電池の国産化が今後の焦点になりそうです。

軽量化と安全装備、飛行時間との綱引き

飛行時間は、電源だけでなく「機体を軽くする」ことでも稼げます。ある国産メーカーの次世代小型機の試作機は、既存機と比べて約18%軽い1400g程度を実現したと紹介されました2。細部まで見直した軽量化は、そのまま飛行時間の余裕につながります。

一方で、設計には割り切りも求められます。この試作機では、収納に便利な折りたたみ式プロペラと、飛行時間が長くなる傾向のある固定式プロペラの両方を検討していると説明されており2、利便性と飛行時間のどちらを取るかという現実的なトレードオフが見て取れます。

安全装備も同じ構図です。機体後部に取り付ける約935gのパラシュートシステムは、最大離陸重量を維持しながら飛行時間への影響を最小限に抑える設計とされています3。「落ちても人を守る」装備を積むほど機体は重くなりますが、そこをどう詰めるかが各社の腕の見せどころです。飛行時間・安全・利便性は、常に三つ巴で綱引きをしているといえます。

まとめ:飛行時間の壁を「運用設計」で越える

こうして見ると、飛行時間の問題に「唯一の正解」はありません。長時間の定点なら係留、機動性が必要ならハイブリッド、重量物なら高密度電池、身軽さ重視なら軽量化と、用途に応じて手段を選び、組み合わせるのが現実的です。そして半固体・全固体電池の進展や電池国産化の行方は、今後数年の運用計画に直結します。

大切なのは、カタログ上の最大飛行時間だけでなく、「自分の現場で、安全装備も含めて実際に何分飛べるか」を見積もる目です。西濃ドローンアカデミーでは、機体特性やバッテリー運用を踏まえた実践的な学びを通じて、こうした運用設計の感覚を身につけていただければと考えています。

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