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T25Pの粒剤散布でキャリブレーションが必要な理由|T70との違い

「設定した散布量どおりに撒けているはずなのに、残量が合わない」——農業用ドローンで粒剤を撒いた経験のある方なら、一度は感じたことがあるかもしれません。その原因の多くは、機体の故障でも設定ミスでもなく、「校正(キャリブレーション)」という下準備の抜けにあります。

結論から言えば、DJI T25Pは機体側に重量センサーを持つため、液剤装置と粒剤装置を付け替えたら校正(自重のゼロリセット)が必須です。一方、T70はタンク側にセンサーがあるため、付け替えても基本的に校正は要りません1。同じメーカーの近い世代の機体でも、ここが違います。本記事では、緑肥(レンゲなど)の空中散布の実例をもとに、なぜ付け替えで誤差が出るのか、そして校正が「撒く」作業だけの話ではないことを整理します。

なぜ装置を付け替えると散布量がずれるのか

ある現場では、前日に液剤装置から粒剤装置へ付け替えたところ、タンクが空の状態でも機体の表示が3.8〜4.2kgとバラついたといいます1。本来ゼロであるべき数字がこれだけ浮いていれば、「あと何kg残っているか」を機体が正しく把握できず、散布量の計算もずれていきます。

ポイントは、重量センサーの位置です。T25Pはセンサーが機体側にあるため、装置を物理的に付け替えると「何も載っていない状態の重さ」が変わり、そのたびに基準を取り直す必要があります1。対してT70はタンク側にセンサーがあるので、付け替えによるズレが生じにくく、校正の手間が省けます1。どちらが優れているという話ではなく、「自分の機体はどちらの方式か」を知っておくことが、ムダなトラブルを避ける第一歩になります。

粒剤散布の校正手順(緑肥散布の実例から)

実際の作業では、次のような流れで校正を行います。まずインペラ(回転羽根、約200g)を外して種子の飛散を防ぎ、外した部品も載せた状態で計測すると正確になります1。その上で、空のタンクを「0kg」として機体に覚えさせます。この自重のゼロリセットを飛ばすと、先ほどの誤差が残り続けてしまいます1。

次に、タンクへ種子を入れ、散布資材の管理メニューから「小スクリューフィーダー」などの送り出し機構を選びます。低い回転数から徐々に上げていき、1分あたり何kgが落ちるかを機体に学習させ、「レンゲ」などと名前を付けて保存すれば、自動散布のテンプレートになります1。新しい資材を使うたびに校正し直すほうが精度は上がります1。

参考までに、この現場でのレンゲの設定値は、散布幅6.12m、散布量40kg/ha、速度約15km/h、高度3mでした1。レンゲは軽く飛びにくいため、回転数は900で始めて重なりを見ながら1000〜1100へ上げるなど、その場で微調整したといいます1。1タンクで約10.8kgを目標にしたところ、実測は10.9kgとほぼ狙いどおりに収まりました1。

散布量が1割以上ずれたら、まず校正を疑う

現場での目安として覚えておきたいのが、散布量が1割以上ずれる場合は、校正の仕方か設定値のどちらかを疑う、という考え方です1。速度を上げれば良い・下げれば良いといった単純な話ではなく、資材ごとの「適正速度」で量が最も合うというのが、散布を重ねた経験から得られた感覚だといいます1。

また、自動散布に入る前に、最初だけ手動で散布ボタンを押し、種が実際に出ているかを目視で確かめてから自動へ移行するのも実務の工夫です1。送り出しの途中には種が出ない区間が生じることがあり、「設定したから出ているはず」で進めると、撒き始めだけ薄くなってしまうためです。こうした一手間は、数字の上では見えにくいものの、仕上がりの均一さを大きく左右します。

「基準合わせ」は撒くだけの話ではない

校正という考え方は、粒剤散布に限りません。たとえば測量用のハンディ3DスキャナーでRTK(高精度な位置補正)を使う場合、別途NTRIPサービスの契約が前提になり、適切な環境で使えば水平位置の平均差が数cm程度に収まる結果も報告されています2。位置の「基準」をきちんと合わせることで、はじめてカタログ上の精度が現場でも生きてくるわけです。

自動飛行でも同じです。ドローンポートの通信範囲を広げる外付けアンテナ「DJI O4 グラウンドステーション」は、設置した位置をネットワークRTKで正しく登録する位置校正が必須で、しかも設置後に本体を動かしたら校正をやり直す必要があるとされています3。重量にせよ位置にせよ、「機器が自分の今の状態を正しく認識できているか」を、作業の節目ごとに人が確認してやる——この一点で、撒く・測る・飛ばすのいずれの精度も決まってきます。

専門用語で言う「キャリブレーション」は難しそうに聞こえますが、やっていることは「道具にいまの前提を教え直す」だけです。装置を付け替えたとき、資材を変えたとき、機器を移動したとき。この3つの節目を合図に校正を習慣化しておけば、原因不明のズレに悩まされる場面はかなり減らせるはずです。

まとめ

農業用ドローンの散布精度は、派手な設定値よりも、地味な校正の積み重ねで決まります。T25Pのように機体側センサーの機種は付け替えのたびにゼロリセットを、T70のようにタンク側センサーの機種はその手間が省ける——まずは自分の機体の方式を把握することが出発点です1。そして「1割ずれたら校正を疑う」という物差しを持っておくと、現場での判断が速くなります1。

こうした機体ごとの校正の勘所や自動飛行の設定は、座学だけでなく実機に触れて身につけるのが近道です。ドローンの国家資格取得をお考えの方は、西濃ドローンアカデミー(https://license.seino-drone.com?utm_source=blog&utm_medium=organic)の講座情報もあわせてご覧ください。

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