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ドローンは新人でも一定品質を出せる?属人化を防ぐ自動飛行と可視化のいま

「経験の浅い人にドローン作業を任せて、品質は大丈夫なのか」――導入を検討する事業者からよく聞く不安です。結論から言えば、自動飛行や作業状況の可視化が進んだことで、以前なら熟練者しか出せなかった一定品質の作業を、経験の浅い担当者でも再現しやすくなっています。ただし「機械に乗っているだけ」で完結するわけではなく、知識と安全監視という人の役割は明確に残ります。今回は農業・点検・測量の各現場の最新事例を横断し、「何が自動化で置き換わり、何が人に残るのか」を整理します。

「操作の巧拙」を機械が肩代わりし始めた

免許を取った新人が一台を任される農薬散布

象徴的なのが、米穀大手・神明ホールディングスの新入社員研修です。ドローン免許を取得した新人が、中型機のDJI AGRAS T25を使い、直播水稲およそ3反(約3,000平方メートル)の圃場で除草剤を散布しました2。散布の設定値も具体的で、散布幅は3.85メートル、散布量は10アールあたり25リットル、機体を飛ばす高さ(対地高度)は2メートル、速度は8キロメートル毎時前後(10キロメートル毎時を超えると散布が乱れる)とされています2。除草剤はドリフト(薬剤の飛散)を抑えるため液滴を大きめに設定するといった判断も、あらかじめ数値化されていれば新人でも再現できます2

こうした「設定を決めて手順化する」ことこそが属人化の解消です。薬剤を一気に入れず少量で流量計を確認する、離陸前にアームのロックとバッテリーを本人が確認する、といった手順も明文化されています2

「乗っているだけ」で圃場を平らにするGPSレベラー

農地の均平化でも同じ流れが見られます。CHCNAV製のGPSレベラー「IC100」は、RTK(高精度測位)を使って圃場の高低差を画面上に色分け表示し、基準を緑、高い場所を赤として一目で示します1。実演では65馬力クラスのトラクターで幅2.4メートルの作業機を牽引し、時速6キロメートル前後で作業していました1。移植水稲で高低差が大きいと湛水時に苗が水没して枯れ、株数が減って収量に響くため、平らにすることの意味は大きいのです1。リアルタイムで凹凸が見えるので「初心者でも乗っているだけで操作しやすい」と説明されており1、これも技能の可視化による属人化の緩和と言えます。

撮影の「腕」を機体が補助する送電線点検

インフラ点検でも自動化が進みます。DJI Matrice 400とカメラZenmuse H30Tを組み合わせた「送電線フォロー」は、機体のLiDARが送電線を認識し、一定の離隔とカメラ角度を保ちながら自動で沿って飛ぶ機能です46。この機能はMatriceのファームウェアがMatrice 400向けに2026年5月28日の更新で追加され、6月16日の更新で6分割・8分割導体にも対応しました4。従来は、たわむ送電線に一定距離で並走させ、ズーム倍率やジンバル角度を同時に操作する高い技術が必要で、撮影データが担当者ごとにばらつくのが課題でした46。自動追従なら離隔(例:5メートル)やピッチ角、検査速度(毎秒1メートル程度)、写真の重なり具合(オーバーラップ15%)をそろえられ、担当者による差を抑えられます6

成果物づくりまで自動化の波

飛ばした後のデータ処理も同様です。測量・点検ソフトのDJI Terraは2026年7月23日のv5.3.0で、日本の公共測量の標準様式について出力可能な項目を自動入力できるようになり、帳票作成の手間を減らせるようになりました5。サーマル(赤外線)画像から温度付きのオルソ画像を自動生成する機能も加わっています5

自動化しても「人」に残る三つの仕事

では何でも機械任せでよいかというと、そうではありません。各事例には共通して「人に残る役割」がはっきりと示されています。

第一に、専門知識による判断です。農薬は移植水稲と直播水稲で希釈水量などの登録が異なり、確認を怠ると誤った散布になります。直播水稲での登録は10アールあたり使用量250ミリリットル、希釈水量25〜100リットルとされ、市販剤を自分で混ぜて代用する場合は登録条件の違いに落とし穴があると注意喚起されています2。点検でも、黒い被覆のある電線はLiDARで検知が不安定になる場合があり6、対象を見極めるのは人の判断です。

第二に、安全監視です。自動散布中もスティックに指を置いていつでも介入できるようにする、複数圃場を連続で飛ぶマルチタスク機能では進んだ先に家や電柱がないか確認し、障害物レーダーを切ったまま放置しない、といった監視は人が担います2。送電線フォロー中も操縦者による周辺の安全確認は必要とされています6

第三に、計画・設計です。送電設備は撮影方向で見え方が変わるため、往路と復路で角度を変えるなど事前の撮影計画が欠かせません4。DJI Terraの様式自動入力も、出力できない項目は従来どおり作業者の記入や別途協議が必要で、すべてが自動になるわけではありません5

こうした流れは、より身近な販売接点でも後押しされています。国産メーカーのマゼックスは、15リットルタンクや障害物レーダーを備えた農業用ドローン「飛助15」をホームセンターで扱い始め、これまで手作業で10アールあたり約1時間かかっていた散布を約1分に短縮できるとしています3。導入のハードルが下がるほど、正しく使うための基礎知識の重要性はむしろ高まります。

まとめ

自動飛行と可視化の進歩によって、「操作の巧みさ」で差がついていた部分は確実に縮まり、経験の浅い担当者でも一定品質の作業に届く場面が増えました。一方で、農薬登録や電線仕様の判断といった知識、飛行中の安全監視、事前の計画設計は、これからも人が担う中核の仕事です。裏を返せば、資格取得や訓練で身につけるべきは「機械が代われない部分」だと言えます。西濃ドローンアカデミーでは、機体を安全に飛ばす技能に加え、こうした知識と判断力を現場目線で学べます。導入や資格取得を検討中の方は、まず「自分の現場で人に残る仕事は何か」から整理してみてください。

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