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米国の輸入ドローン関税を解説──DJI規制・国産化の流れは日本にどう影響するか

「米国が輸入ドローンに高い関税をかけた」というニュースを見て、日本で機体を使う立場としては何が変わるのか気になった方も多いはずです。結論から言えば、今回の措置の主な狙いは中国製ドローンの締め出しであり、日本製の機体には比較的低い税率が用意されています。ただし、これは単なる貿易の話ではなく、「どの国のドローンを、どんな部品で作るか」という産業構造そのものに関わる動きです。この記事では、関税の中身と背景を整理したうえで、現場の実務者・導入検討者にとって何が示唆されるのかを考えてみます。

まず関税の中身を整理する

報じられた内容によると、米国は2026年8月13日、輸入ドローンとその部品に幅広い関税を課しました1。税率は機体の性質によって段階が分かれています。

最大離陸重量が25kgを超える大型機には100%という高い税率がかかり、国家安全保障上とくに機微とされる熱赤外線カメラ搭載機や、こうした機体向けの充電基地(ドッキングステーション)・重要部品も同じ扱いになります1。一方、25kg以下でそうした機微な機能を持たない機体は25%にとどまります1

注目したいのは同盟国への例外です。EU、日本、韓国、スイス、リヒテンシュタイン、台湾で作られたドローンは15%、英国製は10%と、中国製に比べて明確に低く設定されました1。関税は署名から21日後に発効し、一部の部品については180日後の発効とされています1

つまり「大型・高機能・中国製」ほど重く、「小型・同盟国製」ほど軽い、という設計です。ここに今回の政策の意図がはっきり表れています。

なぜ中国製が主な標的なのか

同盟国に低い税率が用意されたことからも、この関税が市場を握るDJIなど中国勢を主に狙ったものであることは明らかです1。ただ、これは突然出てきた話ではなく、中国製機器を米国内から締め出す規制の積み重ねの延長線上にあります。

実際、連邦通信委員会(FCC)は2025年12月に中国製を含む外国製の新型ドローンの国内販売を事実上禁止し、2026年7月には、これをすり抜けて別ブランドで売られていたDJI製機体に制裁金を科す手続きを始めています1。規制の対象はドローンにとどまらず、ルーターやロボット掃除機、電力変換装置(インバーター)にまで広がっています1

背景にあるのは、国家安全保障の強化と国内サプライチェーンの立て直しという狙いです1。データを扱う通信機器やカメラ搭載機を「どの国が作っているか」を問題視する流れが、ドローンにも及んだと見ることができます。

株価と「国内回帰」の政治

この発表を受けて、米国の主要ドローンメーカーの株価は軒並み上昇しました。AeroVironmentやKratos Defense、Red Catなどが値を上げ、なかでもUnusual Machinesは14%超上昇して31.13ドルを付けています1。国内生産に投資する企業を後押しする「国内回帰プログラム」を商務長官が創設できる権限も盛り込まれ、米国内でドローンを作る動きを促す設計になっています1

一方で、政治的な色合いも指摘されています。大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニアは2024年にUnusual Machinesの諮問委員会に加わり、その見返りとして同社株20万株を付与されていたと報じられています1。政策と個別企業・人物の利害がどうつながるのかは、ニュースを読むうえで冷静に見ておきたい点です。

日本の実務者にとっての示唆

では、日本で仕事にドローンを使う立場から見て、この動きをどう捉えればよいのでしょうか。直接的な影響と、間接的に効いてくる影響を分けて考えると整理しやすくなります。

直接の影響は限定的です。今回の関税はあくまで米国内向けの措置であり、日本国内でDJI機を買って飛ばす行為が規制されるわけではありません。むしろ日本製は同盟国枠で15%と、中国製より優遇されている点は、国産機を手がける国内メーカーにとって追い風の材料になり得ます1

見落とせないのは間接的な影響です。ドローンは機体だけでなく、カメラ・センサー・充電基地・通信モジュールなど多くの部品で成り立っています。今回の関税が部品や熱赤外線カメラ、ドッキングステーションまで対象にしていることは1、「どの国の部品で作るか」という調達の見直しが世界的に進む可能性を示しています。もし主要市場で中国製部品の使用が敬遠される流れが強まれば、機種のラインナップや価格、供給の安定性が中長期的に揺れることも考えられます。

現場目線での備えは、極端な買い急ぎや買い控えではなく、情報のアップデートを続けることです。使っている機体やカメラがどの国の技術に依存しているのか、代替となる国産・同盟国製の選択肢があるのかを平時から把握しておけば、規制や価格の変化に振り回されにくくなります。

まとめ

米国の輸入ドローン関税は、中国製の締め出しと国内生産の後押しを狙った措置で、日本製には15%という比較的低い税率が設定されました1。日本国内の運用に即座の制約が及ぶわけではありませんが、部品調達やサプライチェーンの見直しという形で、じわじわと世界の機体・価格に影響していく可能性があります。

こうしたニュースは「どの機体を選ぶか」だけでなく、「なぜその機体がその価格・仕様なのか」を理解する手がかりになります。西濃ドローンアカデミーでは、法令や機体の知識に加え、こうした業界の背景まで含めて学べる場でありたいと考えています。制度と技術の両面から現場判断ができる力を、一緒に育てていきましょう。

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